病院では診察や検査、会計などの工程が多く、待ち時間が長くなりやすい傾向にあります。
このような待ち時間の長さは、患者の不満につながりやすくなり、クレームに発展するケースも少なくありません。ただ、そのクレームによって不満を抱えた患者はほかの医療機関へ移りやすく、その体験がSNSや口コミサイトで広まれば、新規患者の獲得にも影響するおそれがあります。
しかし、原因を正しく把握し、適切な対策を講じることで、待ち時間に対するクレームを減らすことが可能です。
本記事では、病院の待ち時間が長い理由について、クレームの原因や対策も交えて解説します。
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【前提】患者が診察に待てる時間は一般的に「37分」
日本医療マネジメント学会の外来患者調査によると、患者が診察までに許容できる待ち時間の平均は「37分」です。この許容時間を超えてしまうと、患者が不満を感じやすくなり、クレームにつながる可能性があります。
これは病院での待ち時間が、患者にとって「体調が悪い状態で、いつ呼ばれるかわからないまま過ごす時間」となり、体感的な負担が大きく、不満がもっとも蓄積しやすい傾向があるためです。
ただ、待ち時間がどの工程で発生しているのかは、病院によって異なります。
このことから、自院でどの工程に時間がかかっているのかを明確にすれば、優先的に改善すべきポイントがわかりやすくなるでしょう。
以下の表に、各工程における許容時間の目安をまとめました。
| 工程 | 許容できる待ち時間の平均 |
| 受付 | 18分 |
| 診察待ち | 37分 |
| 検査 | 23分 |
| 計算・会計 | 10分 |
| 病院滞在時間(合計) | 68分 |
参考:日本医療マネジメント学会雑誌「待ち時間と満足度を組み合わせた外来患者調査」
病院の待ち時間が長くなりやすい理由とは?
病院の待ち時間は、診察の流れや患者数の変動など、さまざまな要因によって長くなりやすい傾向があります。具体的には、予約の集中や緊急対応による診療の中断、受付業務の煩雑さなどが代表的な要因として挙げられます。
こうした理由を把握しないまま対策を進めてしまうと、的外れな改善にコストや労力をかけてしまいかねません。まずは、待ち時間が長引く理由を正しく理解し、自院に該当する要因を見極めておくことが大切です。
ここでは、病院の待ち時間が長くなりやすい理由について、以下5点を解説します。
①予約している人数が多い
病院では、限られた診察枠に対して多くの患者が予約を入れるケースが一般的です。とくに、人気のある診療科や専門医の外来では、予約枠が早い段階で埋まる傾向があります。
予約人数が多くなると、1人あたりの診察時間が少し延びただけでも、後ろの患者への影響が大きくなり、待ち時間が延びかねません。
②患者ごとに診療時間が異なるため調整が難しい
病院の診察は、患者の症状や治療内容によって所要時間が大きく異なります。軽い症状であれば短時間で完了する一方、複数の疾患を抱える患者や初診の場合は問診や説明に時間を要します。
このような診療時間のばらつきがあるため、予約枠どおりに進行させることが難しく、結果として後の患者の待ち時間が延びるケースも少なくありません。
③緊急対応や重症患者が優先されるケースがある
病院には予約患者だけでなく、救急搬送や緊急性の高い症状を訴える患者が突発的に来院します。こうした場合、医師は予約の順番にかかわらず、緊急度の高い患者を優先して対応しなければなりません。
緊急対応が入るたびに予約患者の診察が後ろ倒しになるため、待合室で待つ患者にとっては予測できない待ち時間が発生しやすくなります。
④検査や処置に時間がかかる
病院では、診察だけでなく血液検査やレントゲン撮影、点滴などの処置がおこなわれるケースも少なくありません。これらの検査や処置は一定の時間を要するうえ、結果が出るまで次の診察に進めない場合もあります。
検査の待ち時間が加わることで、患者の滞在時間が長くなり、不満につながりやすくなります。
⑤受付や会計業務の担当が対応に追われている
受付では保険証の確認や問診票の記入案内、電話対応など、複数の業務を並行してこなさなければなりません。また、会計でも診療報酬の計算や領収書の発行に手間がかかり、ピーク時には対応が追いつかなくなるケースがあります。
このように、受付や会計で滞りが生じると、診察前後の待ち時間が延び、患者の不満が蓄積しやすくなるでしょう。
病院の待ち時間がクレームになる5つの原因
病院での待ち時間がクレームに発展する背景には、単なる時間の長さだけでなく、患者心理や対応面の要因があります。具体的には、見通しの立たない不安や、順番が前後しているように見える状況が不満を増やしかねません。
こうした原因を把握しておかなければ、対策を講じても根本的な解決につながらないおそれがあります。
ここでは、病院の待ち時間がクレームになる原因について、以下5点を解説します。
①待ち時間が長く体調的に負担が大きい
病院を訪れる患者の多くは、発熱や痛みなどの体調不良を抱えた状態です。
患者は体調がすぐれない状態で長時間待たされると、通常であれば気にならない程度の時間でも大きなストレスを感じやすくなります。なかでも、高齢者や小さな子どもを連れた患者にとって、座って待つだけでも体力を消耗してしまいます。
結果的に、「なぜこんなに待たされるのか」や「早く診てほしい」などの不満が、クレームに発展しやすくなるでしょう。
②帰れる時間がわからず不安
患者のなかには、仕事の合間や家族の送迎の予定を調整して来院している人も多いです。このことから、「あとどのくらいで呼ばれるのか」がわからない状態で待たされると、予定の見通しが立たず不安が募りやすくなります。
この不安は、待ち時間の長さ以上に強いストレスを生みかねません。
結果として、「目安を教えてほしい」や「いつ終わるのかわからない」などの声がクレームにつながるケースがあります。
③順番が前後しているように感じる
待合室では、自分よりあとに来た患者が先に呼ばれる場面があります。これは、診療科の違いや検査の有無、予約枠の都合によるものですが、患者側にはその事情がわからない場合が多いです。
順番が入れ替わった理由がわからないと、「飛ばされた」や「不公平ではないか」と受け取られかねません。
このような誤解が解消されないまま放置されると、スタッフへの直接的なクレームに発展する可能性があります。
④受付やスタッフの対応が遅く感じる
病院では、受付での手続きや会計の対応が遅いと患者からクレームが入るケースがあります。これは実際にはスタッフが業務を進めていても、患者にはその様子が伝わりにくいため、「動きが遅い」や「もっと早くできるのでは?」と感じることが原因です。
このような待ち時間が長引いている状況下では、患者からのスタッフの対応スピードに対する目線がとくに厳しくなります。
待ち時間そのものへの不満がスタッフの対応への不満に転化し、クレームにつながりやすくなるでしょう。
⑤なぜ待っているのか理由が伝わっていない
患者にとって、待ち時間が発生する理由が明確に伝えられていない場合は、不満を感じやすい要因となります。検査結果の待ちや緊急対応による遅れが生じていても、説明がなければ「放置されている」と感じかねません。
具体的には、スタッフが忙しそうに動いていても患者への声かけがない場合、不信感が強まりやすくなります。
このような状況が続くと、「待ち時間の説明がない」といったクレームに発展しやすくなります。
【重要】病院の待ち時間に対するクレームを減らす対策
病院の待ち時間に対するクレームは、適切な対策を講じることで大幅に減らせます。対策の方向性は、業務フローの改善や患者への情報共有の工夫、システムの導入など多岐にわたります。
ただ、対策によって得られる効果や導入の手軽さが異なるため、自院の状況にあわせて優先度の高いものから取り入れることが大切です。
ここでは、病院の待ち時間に対するクレームを減らす対策について、以下5点を解説します。
①受付から会計までのフローを見直す
病院の業務フローは、同じ運用を続けるうちに、スタッフの動線や手順に無駄が生じているケースがあります。受付から診察、検査、会計までの一連の流れに無駄な手順があると、患者の待ち時間を延ばす要因になりかねません。
このようなことから、まずは各工程の所要時間や業務の流れを可視化し、改善できるポイントを洗い出してみてください。
担当業務の再分担や動線の最適化をおこなえば、同じ人員でも対応スピードを向上させやすくなり、待ち時間の短縮につながるでしょう。
②待ち時間の目安を事前に伝える
患者の不満の多くは、「あとどのくらいで呼ばれるのかわからない」という不安から生まれます。先の見えない状態で待たされると、実際の待ち時間以上に長く感じられ、苛立ちが募りやすくなります。
上記のことから、受付の段階で「あと30分ほどお待ちいただきます」といった目安を伝える仕組みづくりが効果的です。
事前に見通しを共有できれば、待ち時間そのものを短縮できなくても、患者の不安を和らげクレームを抑えやすくなります。
③予約制を適切に運用する
予約制を導入していても、1枠あたりの予約人数が多すぎたり、予約外の患者を過度に受け入れたりすると、待ち時間が延びやすくなります。このような状態が続けば、予約をした患者に不満が広がり、クレームの原因になりかねません。
このことから、1枠あたりの予約人数や予約外患者の対応枠を明確にルール化し、適切に運用することが大切です。
予約制が機能すれば、来院する患者を時間帯ごとに分散でき、待ち時間の偏りを抑えやすくなるでしょう。
④混雑時間を分散させる
病院の混雑は、診療開始直後の午前中や仕事終わりの夕方に集中しやすい傾向があります。特定の時間帯に患者が集中すると、待ち時間が大幅に延び、クレームの発生リスクも高まります。
このような点から、比較的空いている時間帯を院内掲示やWebサイトで案内するなど、混雑時間帯の分散を促す工夫を取り入れてみてください。
患者の来院タイミングが分散されれば、ピーク時の負荷が軽減され、一人あたりの待ち時間も短縮しやすくなるでしょう。
⑤システムを導入する
受付や順番管理、会計などの業務は、対応件数が多く、ピーク時にはスタッフだけでカバーできないケースも少なくありません。手作業に頼った運用では、対応速度に限界があり、患者の待ち時間を延ばす要因になりえます。
このような事態を防ぐためにも、業務を効率化できるシステムの導入を検討しましょう。
順番待ち管理やオンライン予約、電子カルテなどのシステムを活用すれば、スタッフの業務負担を軽減しながら、患者の待ち時間を短縮しやすくなります。
【必見】病院の待ち時間のクレーム対策に役立つシステム
病院の待ち時間のクレームは、順番管理や受付の自動化ができるシステムを導入することで、改善が期待できます。
ただ、システムには順番待ち管理や予約、電子カルテなどさまざまな種類があり、対応できる課題もそれぞれ異なります。このような事情から、自院の課題に合ったシステムを選ぶためにも、どのような選択肢があるのかを把握しておくことが大切です。
最後に、病院の待ち時間のクレーム対策に役立つシステムについて、以下5点を紹介します。
①順番待ち・呼び出し:ビヨンド整理券

出典:ビヨンド整理券
順番待ち・呼び出しシステムとは、患者がスマートフォンやタブレットで受付を済ませ、順番が近づくと自動で通知を受けられる仕組みのことです。患者は待合室に留まる必要がなくなるため、待ち時間のストレスを軽減しながら、自分の時間を有効に使えます。
導入することで、受付後の待合室で「いつ呼ばれるのかわからない」というクレームの軽減が可能です。
たとえば、ビヨンド整理券であれば、WebサイトやSNS上のQRコードから事前に順番予約ができる「リモート受付」を利用できます。患者のスマートフォンに目安待ち時間が表示されるため、「あと何分か?」を患者自身で確認でき、スタッフへの問い合わせも減らせます。
患者の体感的な待ち時間を大幅に減らせるため、クレームの抑制と受付業務の効率化を同時に実現できるでしょう。
| サービス名 | ビヨンド整理券 |
| 料金(税込) | 初期費用:無料 月額:3,300円 |
| おもな機能 | ・リモート受付 ・呼び出し ・待ち時間表示 ・受付制限 ・入力項目カスタム ・分析レポート |
| 運営会社 | BPS株式会社 |
②オンライン予約:Airリザーブ

出典:Airリザーブ
オンライン予約システムとは、患者がWebサイトから24時間いつでも予約を完結できる仕組みのことです。電話予約の対応件数を削減できるため、受付スタッフの業務負担を軽減しやすくなります。
このようなシステムは、電話予約の集中によって受付が圧迫され、患者の待ち時間増加やクレームにつながっている病院での導入に向いています。
たとえば、Airリザーブであれば、患者自身が空き枠を確認して予約を入れられるため、電話対応にかかる時間を大幅に短縮可能です。フリープランから導入でき、予約件数に応じた従量課金もないため、コストを抑えて始められます。
スタッフが予約対応から解放されることで、患者対応に集中しやすくなり、待ち時間の短縮にもつながるでしょう。
| サービス名 | Airリザーブ |
| 料金(税込) | フリー:0円 ベーシック:5,500円 スタンダード:11,000円 プレミアム:お問い合わせ |
| おもな機能 | ・予約管理 ・スマートフォンでの予約管理 ・顧客管理 ・オンライン決済 ・予約確認メール配信 ・安全な情報通信 ・スタッフの店舗権限登録 |
| 運営会社 | 株式会社リクルート |
③電子カルテ:CLIUS

出典:CLIUS
電子カルテシステムとは、患者の診療情報をクラウド上で一元管理し、カルテの入力や検索を効率化できる仕組みのことです。紙カルテと比べて情報の検索や共有がスムーズで、診察スピードの向上に役立ちます。
病院では、カルテの記載に時間がかかり患者を待たせてしまう、過去の診療情報の検索に手間取り診察が停滞するなどのケースに役立ちます。
たとえば、CLIUSであれば、直感的な画面設計で操作がしやすく、よく使う処方やセットをAIが自動学習して表示することも可能です。Web予約や問診機能も基本料金内で利用でき、診察の流れを一元的に効率化できます。
カルテ入力の時間を短縮しながら診察の質を維持できるため、患者の待ち時間削減とスタッフの負担軽減を両立しやすくなるでしょう。
| サービス名 | CLIUS |
| 料金(税込) | 12,000円 |
| おもな機能 | ・電子処方箋 ・マイナンバー対応 ・AIオーダー推薦 ・予約機能 ・Web問診 ・オンライン診療 ・オーダーチェック ・薬用量機能 |
| 運営会社 | 株式会社Donuts |
④Web問診表:Symview

出典:Symview
Web問診システムとは、患者が来院前にスマートフォンで問診票を入力し、事前に症状や経過を伝えられる仕組みのことです。紙の問診票への記入やスタッフによる転記作業が不要になるため、受付から診察までの時間を短縮できます。
このようなシステムは、問診の記入待ちや転記作業に時間がかかり、診察前の待ち時間が延びている課題に対して効果的です。
たとえば、Symviewであれば、患者の回答内容に応じて質問が自動で分岐する機能を搭載しており、必要な情報を効率的に収集できます。問診結果は電子カルテへスムーズに転記できるため、スタッフの手作業を大幅に減らせます。
来院前に症状を把握できれば診察の準備を事前に進められ、患者の待ち時間削減と診療の質向上を同時に目指せるでしょう。
| サービス名 | Symview |
| 料金(税込) | お問い合わせ |
| おもな機能 | ・Web問診 ・カルテ転記 ・電子同意書 ・オンライン診療 ・スコアテスト |
| 運営会社 | 株式会社レイヤード |
⑤自動精算機:テマサックPro

出典:テマサックPro
自動精算機とは、患者自身がタッチパネルを操作して会計を完了できる機器のことです。スタッフによる現金の受け渡しが不要になるため、会計処理のスピードが向上し、釣り銭の渡し間違いも防げます。
病院で役立つ場面としては、会計窓口にピーク時の列が発生している、レジ締め作業に時間がかかっているなどが当てはまります。
たとえば、テマサックProであれば、電子カルテやレセプトコンピュータと連携し、患者がタッチパネルを操作するだけで会計が可能です。キャッシュレス決済や多言語対応も標準搭載されており、追加費用なしで幅広い患者に対応できます。
こうしたシステムを活用すれば、スタッフの会計業務の負担軽減と、患者の会計待ち時間の短縮を同時に実現できるでしょう。
| サービス名 | テマサックPro |
| 料金(税込) | お問い合わせ |
| おもな機能 | ・請求情報の読込 ・キャッシュレス対応 ・多言語対応 ・レセコンとの連携 |
| 運営会社 | 株式会社 カワニシバークメド |
【まとめ】病院の待ち時間のクレームは、システム導入で解決!
本記事では、病院の待ち時間が長い理由について、クレームの原因や対策も交えて解説しました。
病院の待ち時間が長くなる背景には、予約人数の多さや診療時間のばらつきなど、複数の要因が絡み合っています。ただ、業務フローの見直しや待ち時間の事前案内、予約制の適切な運用など、対策を講じれば待ち時間のクレームを大幅に抑えられます。
具体的には、順番管理やオンライン予約、電子カルテなどのシステムを導入すれば、スタッフの業務負担を軽減しながら患者の待ち時間の短縮が可能です。
上記を踏まえ、本記事で紹介した対策やシステムを参考に、自院の状況に合った改善策から着手してみてください。
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